第3回 風にのってやってくる…タカサゴユリ

場所 テラスガーデン

更新日 平成23年8月26日

真夏も過ぎた8月の末。 さわやかな真っ白い花をいっせいに咲かせるタカサゴユリ。

タカサゴユリが咲き誇るこのエリア。 以前は,こんなにたくさん咲いていたわけではありません。もちろんたくさん植え込んだわけでもなく・・・。 しかし,実にタカサゴユリらしい光景です。

タカサゴユリは,他のユリに比べとてもよく増えます。その秘密は種。 ほかの日本産のユリが1つの実につき50~300個の種がつくのに比べ,タカサゴユリは 実に1000~1500個もの種をつけるといいます。 1つ1つの種子は軽く,風にのって散布されます。

発芽すると早ければ1年目で花が咲きます。 動画でご紹介したように,成熟した株で1m以上の草丈になるものもあれば,近くの花壇に植え込まれた発芽間もない草丈50cmぐらいの株もあるのです。

皆様も植えた覚えがなくても庭からそっと芽を出すタカサゴユリに出会ったことがありますか? ふわっと飛んできた種が縁あってお庭で発芽したのでしょう。 芽が出たときから明らかにユリの姿。花が咲く日が楽しみでとても抜くことはできません。 こうして,咲いた後は種を飛ばし,開けた土地,荒地,はては,アスファルトの隙間などから芽を出しどんどんと増えていくのです。

しかし,そんなタカサゴユリも周りに大きな植物が生い茂ったり,苦手な病原菌が現れたりすると同じ土地にいることができません。数年経ち,そこに暮らせなくなったタカサゴユリは,種を飛ばし別の土地へと移動していきます。

ご紹介したコーナーも,いつかはなくなってしまうのかもしれません。 ぜひ,この機会にご覧ください。

「よろこびの日」 作:近せつ子先生

タカサゴユリ

テッポウユリと似ていますが,比較すると,タカサゴユリは,葉の幅が狭く,花に淡紫色の筋が入りるのが特徴です。 ただ,テッポウユリとの交雑や変異も多く,淡紫色の筋が入らない純白の種類もあります。植物公園は純白の種類があります。

日本へは,園芸用として大正末期(1923年)に九州に種子が持ち込まれました。 種でよく増えるため,九州から西日本そして関東へ分布が広がって各地で野生化しています。

名前は原産地の台湾を指す沖縄などの方言「タカサング」に由来するといわれています。 日本では,戦国時代~江戸時代初期にかけて,台湾を「高砂国」と呼んでいたこともありました。 また,学名の種名formosanumも台湾をあらわします。台湾島にはFormosaという別名があり, これはポルトガル語の「美しい」という言葉がもとになっているそうです。

花が注目されることの多いタカサゴユリ。実は種をつつむ実(朔果)も優美なフォルムを持っています。 朔果は種が充実すると上部が開き柔らかな曲線で広がります。左の写真は、植物の素材感を生かして お人形を作るプラント・ドール。 なんとドレスはタカサゴユリの実を使っています。以前植物公園で展示していただいた作品です。

みなさまのご来園を心よりお待ちしております。